五月のお舞台
皆さまこんにちは。
昭島市や福生市、立川市で日本舞踊教室を開催させていただいている藤間美都也(ふじまみつや)です。日本舞踊のお稽古を始めたいという方が、安心して気軽に始められるお稽古場を目指して日々活動させていただいています。
二月十四日になりました。先日は東京も雪が降りました。長唄「まかしょ」は雪の積もる中を歩いている踊り。ただいま「まかしょ」をお稽古している身としては、作品の世界に気持ちを添えております。
さて。来年五月三日は国立劇場で藤間真起子先生、藤間達也先生主催の日本舞踊のお浚い会「藤曄会」が開催されます。
私は長唄「まかしょ」を踊らせていただきます。本舞台では初めての男の踊りです。しかも、この曲は衣裳がシンプルなだけに、足の形や身体の線が分かりやすい、踊り手にとってはこわい作品。細かな手も多く、かっこよく色っぽく踊りたいところ。やるしかないです。
今回のお舞台では私の母が長唄「岸の柳」で舞台に立たせていただくことになりました。
母は私のお教室の一番最初のお弟子さんです。身内だということもあり、母はお稽古を気ままにやっていました。お着物を着たり、家から外へ出るきっかけとして楽しんでいるので、本舞台に出たいと伝えられた時は大変驚きました。
母から舞台に出たいと申し出があり、師匠にご相談させていただき、藤曄会へ出演させていただく運びになり、来年の会を無事に迎えるためにお稽古する日々が始まったのです。
自分のお弟子さんを先生の会に出させていただくことは私の大きな挑戦になります。まず私自身が「岸の柳」を踊り、理解し、それを母にお稽古しなくてはなりません。
母がどれくらい覚え、踊れるのかドキドキしながらのお稽古が今も続いています。
そんな中、私は先生のお稽古場で「今回、美都也さんのお母様が会に出られると聞いて、本当に嬉しいです。おめでとうございます。」と母が踊ることを知った方々からお声かけいただいたきました。
多少なりともプレッシャーを感じていた中でそんな風にお声かけいただき、私は胸が熱くなりました。母が踊ることを喜んでくださる方がいる、みなさんが母を応援してくださっていることに大いに励まされました。
お浚い会当日、私たちは互いに「おめでとうございます。」とご挨拶をします。会に出演すると決まりますと、本番の日のために熱量のあるお稽古を重ね、家庭や仕事・体調を管理する生活が半年から一年くらい前から始まります。様々な事を乗り越えてのお浚い会への出演の日なのです。
お稽古をつけていただいた先生への大きな感謝があり、そして共に励まし合いお稽古を頑張ってきた仲間を讃え合う「おめでとうございます。」の日なのです。
お浚い会は、おめでたいこと。それも、とてもとても楽しく、嬉しいものなのだという事に改めて気づかせていただきました。普段のお稽古や浴衣会、お浚い会を通じてできたお稽古場の仲間との交流、絆や優しさに勇気づけらる…素敵な経験です。
いま、母は本番に向けてお稽古の日々です。どうか、母の頑張りが舞台に届きますようにと、切に願っております。
「藤曄会」
主催
藤間真起子先生
藤間達也先生
令和五年五月三日(水)
国立劇場小劇場